春、出逢いと別れの季節です。
我が子の巣立ち、そして新しい世界への旅立ちを美しく写真に収めたいのは世の親全ての願い。ところが、その大事な節目の舞台は写真撮影の条件としてはかなりハードルの高いものなのでした。
10年に渡りその舞台の撮影に挑んできた(素人だけど)わたくし、のろんがこれまでに気付いた卒業式・入学式での撮影のコツをお教えします。あっ、シャッターを切るテクニックじゃないんですよ。テクニックじゃないところにもコツがあるってお話です。
卒業式・入学式の撮影って難しい
世のパパママがカメラに興味を持つ大きなきっかけは、我が子の誕生ではないでしょうか。もちろん私もその一人。
それで、みなさんいろんなジャンルの写真を撮られると思うのですが、卒業式(以下入学式も含む)の撮影条件って相当厳しいわけです。簡単に考えて
- 室内での撮影(実は体育館って相当暗い)
- 場所の制限(自由に移動できない)
- スペースの問題(三脚等の使用不可の場合あり)
- チャンスは一度きり(だからこそ尊いのですが)
- 参加者が多い(場所取り大変)
なので、保護者の立場として卒業式の最中に最高のシーンを確実に収めたいのであれば
- フルサイズのカメラ
- 超望遠ズーム(F2.8通し)レンズ
- 場所を移動できる権利
の3つが必要になります。それでは順に見ていきましょう。
※普通はこんなアングルは保護者席からは撮れない
1.フルサイズのカメラ
もし予算が許すのであれば、買いましょう。センサーサイズが大きい方が室内での撮影が成功する確率が上がります。
えっ?重い?1年に何度かしか使わない?
正直に申し上げて、お子さんをアップで撮りたいと思うのであれば、エントリークラスの機材では満足のいく写真を残せる可能性は低いと言わざるを得ません。素人であればなおさら、腕の未熟さを機材でカバーする必要があるのではないでしょうか。
↑妥協した機材では、このような暗い写真を量産してしまうことになります。
とは言え、フルサイズのカメラでなくてはならない、とも思いません。APS-Cでもマイクロフォーサーズでも、条件(当日の天候や日差しの向き等)が揃えばキレイな写真が撮れる確率は上がります。
ちなみに私、今回買ったばかりのGX7mk2と便利ズームで撮影に挑戦しましたが、残念ながら満足のいく写真とはなりませんでした。曇り空でしたし、逆光でしたので。
やっぱり大事な日の撮影に向けて、ある程度の期間、そのカメラを触って撮影の練習をしておく必要があります。どんなに高価な機材を準備しても、その道具を使いこなせなかったら宝の持ちぐされですものね。
2.超望遠レンズ
私、今回35mm換算で280mmの望遠レンズを使用しましたが、イメージしていたようなアップでの撮影はできませんでした。
過去に持っていた35mm換算で450mmのレンズ、これくらいでしたら体育館の最後尾からでもステージに立つ我が子のアップの姿が収められます。
通常、保護者は式場後方の保護者席、あるいは左右の撮影スペースに配置されますので、事前に会場の大きさを把握して(できれば実際に行ってみて)おかれることをおすすめします。
特に、小学校→中学校→高校と体育館のサイズは大きくなりますし、体育館の大きさだって学校によって全然違いますから。
3.場所を移動できる権利
実はこれができれば、望遠距離を稼ぐことができますし、カメラのスペックが落ちる部分をカバーすることもできます。ではどうすれば式中に場所を移動できるか。
- 学校アルバムを作る写真屋のカメラマンになる
- PTAの広報担当になる(ついでに我が子を撮影する!)
- 学校関係者になる
どうでしょう。どれも現実的ではありません。つまり基本的に卒業式の最中に場所を移動することは不可能ということです。ではどうするか?
- 我が子の動き(所作・動線)を事前に把握しておく
- 卒業式中の日光の向きを事前に把握しておく
これが今回最も伝えたいことであります。
3-1 我が子の動き(所作・動線)を事前に把握しておく
せっかく良い場所が取れた!と思っても、我が子はどこに座り、どのような動きをするのでしょうか?本当にその場所がベストポジションですか?式が始まると移動できませんよ?
基本的に式の最中は我が子の後頭部を見つめることになりますので、我が子の顔を写真に収めるチャンスは「入退場」「証書をもらう」「呼名→返事」「呼びかけ」くらいのものです。その中でも「入退場」は撮影難度が高いので、撮れたらラッキー、くらいに考えておいた方が精神衛生上よろしいかと思います。
それで、どのタイミングでどんな動きをするのか、どの動線で移動するのか、事前にお子さんからヒアリングしておきましょう。何か式の中で特別な役目を任されているかもしれません。そんなの事前に聞いておかないと、せっかくのチャンスが台無しになってしまいます。
お子さんの回答が要領を得ない(お前の説明じゃわからんwみたいな)あるいはお子さんが幼くて上手に話せない、年頃になって素直に話してくれない時は、遠慮せず関係者を見つけてこう尋ねましょう。
「●●の保護者です。今日までありがとうございました。…あの、我が子を写真に収めたいのですが、どこか撮っていい場所はありますか?」
と!写真の前にありがとうございました、を言うんよ!そっちが先やろ!!!
…すみません取り乱しました。
関係者目線で言えば、事前に相談もなしに勝手にすき間のスペースに入り込んで撮影する方は非常に印象がよろしくありません。逆に言えば、関係者の言質が取れれば、もしかすると一番撮影しやすいスペースに誘導してくれるかもしれません!(あんまりそんなことはないけど)
式の途中で大体クルッと向きを変えて保護者の方を向くので、こんなポジションで撮れたらいいじゃないですか
3-2 日光の向きを事前に把握しておく
我が子の身体の向きと、もうひとつ大事なことは「日光の入り方」です。
これが逆光側に座ってしまうと、体育館での撮影条件としてはかなり厳しいものになります。あるいはカーテンで日光が入らないようにしてある場合は、さらに室内の光は暗くなる。なのでやっぱり事前のヒアリングが大事です。
逆光側に座ったあなた。今すぐカメラを買いに行きましょう。レンズをレンタルしましょう。間に合わなければISO感度をどんどん上げて、ノイズだらけでもいいのでせめて我が子の表情を残しましょう。でなければシルエットが写る切ない写真だけが手元に残ります。
4.卒業式・入学式で写真より大事なことは何だ?
卒業式・入学式での我が子の姿を写真に収めたい。その気持ちは100%共感いたします。しかし、撮影に夢中になるあまり、目の前にいる我が子の姿を見ていなかった、そんな経験はないでしょうか?私にはあります。
ピントの合ったブレない写真を撮ることと、我が子の表情、声、気持ち、その場の雰囲気、そして子どもの成長を感じることは全く違うことのように思います。
式の中で満足のいく写真が数枚でも撮れたら、後は自分の本当の瞳で、我が子の姿を目に焼き付けておく。これ本当に大切なことではないでしょうか。
家を出る玄関先。最後の見送り。友だちと笑顔で会話する姿。実は式の前後にもシャッターチャンスなんていくらでもあります。
いや、むしろ卒業式や入学式より、なにもない毎日こそ、かけがえのないシャッターチャンスの連続なのではないでしょうか。
…だからさ、来年に向けて新しいカメラ買っていいよね、お母さん?
だって毎日カメラ触って練習しといた方が良いって、ほらほらこのブログに書いてるよ。
新しく出たX-H1だって。これ手ぶれ補正めっちゃすごいらしいよ。動画も写真も一緒に撮れるって書いてるよ。ほらほら。
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